活躍する卒業生

谷 麻衣子

2010年度 教育学部人間発達科学科(発達教育臨床コース)卒業
2012年度 教育発達科学研究科(心理発達科学専攻)博士前期課程 修了

現職:愛知県医療療育総合センター中央病院(臨床心理士・公認心理師)

私が中高生のときは、発達障害、特に知的発達に遅れのない高機能の発達障害という概念が広まりだした頃でした。「発達障害って、何?」という素朴な疑問と、当時興味を持っていた臨床心理学を深く追究できる環境を求め、名古屋大学の教育学部・教育発達科学研究科を志望しました。

学部・大学院ではどんなことを学びましたか?

学部時代は、教育系の授業も心理系の授業も、視野を広げるつもりで、興味を持った授業はどんどん受けていました。技術教育の授業では技能五輪などにも出場するような学校に見学に行けたり、心理系の授業では臨床心理学だけでなく、統計学など研究に必要な知識をわかりやすく学ぶことができました。

大学院時代は、心理臨床の知識や技術を学びながら、単科の精神科病院や公立小学校での実習、心理発達相談室での実践を通して、より本格的な指導と経験を積むことができました。それらは今でも忘れることはありません。また、修士論文作成に向けて、研究室の指導会で相談しながら研究計画を練り上げていくプロセスも大事な学びでした。

学部・大学院での学びで一番印象深かったことを教えてください

思い出は数えきれないほどありますが、一番は指導教員の「研究は泥臭いものだよ」という言葉です。研究は一朝一夕ではできません。自分が知りたいテーマについて先行文献を探し、どういう方法であれば知りたいことについてのデータを集められるのか考え、収集した膨大なデータと向き合い、得られた結果から自分なりの考察を練り上げていくのですが、時に迷ったり悩んだり、「これでいいのか」と自問自答することもありました。今は実践メインですが、心理臨床の実践においても、この泥臭い、地道なプロセスが大事だと痛感しています。

現在の仕事について教えてください

現在は臨床心理士・公認心理師として病院に勤務しています。勤務先は総合病院ですが、子どもや重度心身障害、遺伝子疾患などの患者さんの医療を大事にしている病院です。身体科の病棟の他、精神科領域では小1~中3までが入院できる子どもの病棟と、強度行動障害など知的障害と行動障害が重い患者が入院できる病棟をもっています。私はその中で、各種検査(心理検査、知能検査など)や心理療法の他、発達障害児の保護者へのペアレントトレーニング、子どものこころ科病棟の子どもたちが通う院内学級のサポートを担当しています。

大学での経験は仕事で生かされていますか?

とても活かされています。検査所見も含め、業務に関する文献を探す・読む・書くスキルは学生時代に培った経験がベースになっています。指導を受けながら大学相談室の心理療法に携わった経験も、実際に現場に出てみると本当に有難いことだったと痛感しました。名古屋大学・大学院は私にとって『学びの故郷(ふるさと)』です。

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