教員・研究紹介

教授:吉川 卓治

YOSHIKAWA, Takuji (名古屋大学大学院) 博士(教育学)

専門領域は日本教育史です。日本の近現代社会において小学校から大学までのさまざまな学校が地域とどのようなかかわりをもちながら設立・運営されてきたのか、ということに関心をもっています。学校のあり方は地域という現実的な基盤から切り離して考えることはできないからです。

現在の主な研究テーマは(1)近現代日本における大学と地域の関係史、(2)教育実践、とくに「学校貯金」や「子ども銀行」の歴史、(3)地域教育史です。現在、『愛知県教育史』戦後編の編纂事業にもかかわっています。

主要論文・著書

  • 『「子ども銀行」の社会史─学校と貯金の近現代─』世織書房、2016年(単著)
  • 『公立大学の誕生─近代日本の大学と地域』名古屋大学出版会、2010年(単著)
  • 『西洋世界と日本の近代化—教育文化交流史研究—』大学教育出版、2010年(共編著)
  • 『新版 子どもの教育の歴史─その生活と社会背景をみつめて─』名古屋大学出版会、2008年(共編著)
  • 「戦後改革期特設高等学校の研究」『日本教育史研究』第38号、2019年8月

教育史研究室の紹介

教育史研究室は、1949年5月に新制の名古屋大学が発足して教育学部が誕生したときに、「教育原論及び教育史講座」として設置されました。 以来70年以上の歴史をもつ、教育学部でもっとも伝統ある研究室です。

近年の学部卒業論文のテーマ(一部)

  • 「19世紀イギリスにおける児童労働問題への取り組み」
  • 「ヒトラー・ユーゲントとナチス政権下の青少年に関する研究」
  • 「今日における子どもの読解力をめぐる議論に関する考察—リーディングスキルテストとPISA読解調査を踏まえて—」
  • 「高校野球文化の形成に関する研究」
  • 「人間の権威への服従性についての研究—ナチス体制下に焦点をあてて—」
  • 「グリム童話の変遷に関する一考察—子どもの読み物としての視点から—」
  • 「「夢」とキャリア教育の関係についての批判的検討」
  • 「子どもの居場所としての学校図書館づくりに関する研究—学校図書館専門職の充実の視点から—」
  • 「戦争における人間の心理状態に関する研究—第二次世界大戦下のドイツ兵を事例に—」
  • 「絵本『ちびくろサンボ』が辿った歴史的経緯—差別的表現が問題視された絵本の120年—」
  • 「ナチス・ドイツにおける教育政策の「成果」と「限界」に関する研究—ヒトラー・ユーゲントを事例にして—」
  • 「童話『赤ずきん』の変遷に関する考察—子どもに親しまれた童話の歴史—」
  • 「社会的養護における家庭養育優先原則をめぐる現状と課題」
  • 「戦前日本における旧制高等学校の寮歌の研究」
  • 「ヤヌシュ・コルチャックの思想と実践に関する研究−「子どもの権利条約の精神的な父」として−」
  • 「東京子ども図書館の源流と展開に関する研究−家庭文庫から始まった私立図書館の歩み−」
  • 「学制・教育令期における学業不振の実態に関する研究」
  • 「ナチスの収容所において協力を強いられた人間の心理状態に関する研究−アウシュヴィッツの女性音楽隊を事例として−」
  • 「国民学校における初等歴史教育の実践−大阪を中心にして−」
  • 「ヒトラー・ユーゲントにおける青少年教育に関する研究」

近年の修士論文テーマ(一部)

  • 「アジア・太平洋戦争期における教育雑誌統制—地方教育会雑誌を中心として—」
  • 「占領期日本における外国語科の成立過程—新制中学校を中心に—」
  • 「内藤湖南における東アジア観—時勢との関わりを中心として—」
  • 「高等学校定時制課程の教育課程に関する史的研究—愛知県の昼間二交代定時制課程を事例として—」
  • 「高度経済成長期における高等学校の再編」
  • 「中等教育機関の運動部活動に関する歴史的研究—1930年代から1960年代を中心に—」
  • 「ヴァイマル期における教育アカデミーの研究—新教育運動との関係に焦点を当てて—」
  • 「伊勢湾台風被災地における学生救援活動の研究—その実態と「地域防災計画」への影響に注目して—」
  • 「近代日本の教育学における〈習慣〉概念の展開」
  • 「ドイツ民主共和国における学校音楽教育の研究―1970年代に改訂された教科書の分析を中心に―」
  • 「戦中・戦後日本の留学生選考と受入れ体制に関する研究—1940年代から1960年代を中心として—」
  • 「日本の私立大学における《建学の精神》の研究―早稲田大学、同志社大学、東海三県下の私立大学を中心とした考察―」

近年の博士論文テーマ

  • 「大正新教育における教育方法改革思想の研究—ドルトン・プラン受容を中心として—」
  • 「教育令期における地方教育行政の再編に関する研究」
  • 「清朝末期内モンゴルにおける近代学校に関する歴史的研究」
  • 「近代日本教育博物館成立史」
  • 「米国対日英語教育構想と戦後日本の英語教育改革—新制中学校における外国語科の成立を中心に—」
  • 「近代日本特別学級成立史研究―1907年文部省訓令第6号と師範学校附属小学校に焦点をあてて―」

教育史研究室はこれまで多くの研究者や教育実践家等を輩出してきました。
博士前期課程(修士課程)修了後には、公私立学校の教員や公務員、一般企業に進み、あるいは研究者を目指して博士後期課程(博士課程)に進学しています。
博士後期課程に進学したメンバーの多くは、大学や短大で専任の教員として活躍しています。

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