教員・研究紹介
教授:石井 拓児
ISHII, Takuji(名古屋大学大学院) 博士(教育学)
専門は、教育行政学。主な研究テーマは、戦後日本における教育行政・教育経営理論の学説史的研究で、主に旧教育基本法第10条をめぐる学説と法解釈の変遷を検討しています。また、戦後日本の教育実践のなかに誕生した、「学校づくり」概念の独特な意味と構造に着目し、その教育価値の探求を行っています。
近年は、子どもの貧困問題を念頭に、日本における子育て・教育に対する社会保障制度の未整備、そのもとでの圧倒的な私費負担の問題をとらえ、諸外国との制度比較を通じて教育行財政制度の分析を深め、新しい福祉国家型の教育財政制度をどのように構想し、具体化していくのかを追究しています。
著書・共編著
- 『学校づくりの概念・思想・戦略ー教育における直接責任性原理の探究ー』春風社、2021年12月
- 共著『高校生・若者たちと考える過労死・過労自殺ー多様な生き方を認める社会をー』学習の友社、2021年7月
- 共編著『教職員の多忙化と教育行政ー問題の構造と働き方改革に向けた展望ー』福村出版、2020年10月
- 共編著『学校の安全と事故防止』ミネルヴァ書房、2015年3月
- 共編著『新自由主義大学改革—国際機関と各国の動向—』東信堂、2014年2月
主要論文
- 「職員会議法制の変容と教職員の多忙化問題」(『日本教育経営学会紀要』第62号、2020年7月、第一法規)
- 「新自由主義大学改革と大学財政システムの変容−日本型大学財政システムの歴史的特質と問題点−」(民主主義科学者協会法律部会『法の科学』第50号、2019年9月、日本評論社)
- 「教育財政ガバナンスの構造的変容と学校経営の自律性をめぐる理論的課題」(『日本教育経営学会紀要』第60号、第一法規、2018年5月)
- 「学習指導要領の性格をめぐる歴史的考察と教育法研究の課題」(『日本教育法学会年報』第47号、有斐閣、2018年4月)
- 「学校事故・部活動問題の教育法的・制度論的検討」(『子ども安全研究』第3号、8-13頁、2018年1月)
- 「公教育財政制度の日本的特質と教育行政学研究の今日的課題−教育における福祉国家論と内外事項区分論争を手がかりに−」(『日本教育行政学会創立50周年記念誌』2016年10月、教育開発研究所)
- 「福祉国家における義務教育制度と学校づくり−「多様な教育機会確保法案」の制度論的・政策論的検討−」(『日本教育政策学会年報』23、2016年7月、八月書館)
- 「大学運営と市場原理」日本財政法学会編『大学運営と税財政法上の課題』(全国会計職員協会、2014年)
- 「教育における公費・私費概念—その日本的特質—」(世取山洋介・福祉国家構想研究会編『公教育の無償性を実現する—教育財政法の再構築—』大月書店、2012年8月)
- 「地域教育経営における教育課程の位置と構造—内外事項区分論の教育経営論的発想—」(日本教育経営学会編『日本教育経営学会紀要』第52号、第一法規、2010年5月)
- 「新自由主義教育改革と教育委員会制度の再編と変質−地方分権改革と教育改革の合流点としての地方教育行政法の改正−」(『日本教育法学会年報』第38号、有斐閣、2009年3月)
- 「戦後日本における学校づくり概念に関する歴史的考察」(『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(教育科学)』第51巻第2号、2005年3月)